時の癒さぬ傷などないから

先週自転車で転倒してできた傷は早くもほとんどが治り、かさぶたもはがれてきている。もちろん元々ささやかな傷ではあったが、新しい肉が盛り上がって元のようになってしまうことには改めて驚きを隠しえない。それは僕に、どんな傷であれ癒えない傷はないのだという人生の意義深い教訓を教えてくれる。生きてさえいれば、たとえどれだけ苦しもうとも。

僕は感情がこんなにも長い間理性的な状況認識に従わないことに戸惑いながらも、その感情自体もようやく自分の中で折り合いをつけていっていることを自覚する。結構な期間僕を縛っていた過去は、やっと遠ざかりつ本当の過去になっていく。